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アスク出版「台湾華語単語さらなる2700」の著書・林虹瑛さんにインタビュー!裏話聞いちゃいました♪

美麗(メイリー)!台湾noteで執筆させていただいた記事です。

台湾好き・中国語学習者さん必見!
日本で一番わかりやすい台湾華語単語帳シリーズ「台湾華語単語さらなる2700(アスク出版)」が3月末に発売されました。

「台湾華語単語さらなる2700(アスク出版)」ついに発売!

今回でシリーズ3作目となる同書。
2021年に、国内初となる台湾華語の単語帳「台湾華語単語 はじめの1000」「台湾華語単語 つぎへの1400」2冊を出版。3作目は、単語量が前回の約2倍、内容も台湾のさらに深いところまで知れる一冊になっているということで、著者の林虹瑛(下記、リンさん)に裏話を聞くべく、インタビューさせていただきました! 

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林虹瑛 (リン ホンイン)さんプロフィール

台中生まれ・台北育ち。
東呉大学日本語学科を卒業し、
東京外国語大学で言語学の博士号を取得。

言語学者として、中国語講師・通訳・
翻訳士など携わった仕事は多岐にわたり
現在は著者としても活躍中。
日本台湾語言文化協会の会長・
東吳大学日本同窓会の理事も務める。
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「本の魅力ポイント」と「制作に対する想い」

実は台湾華語を勉強中の筆者も、このシリーズは何度見ても「こんな単語帳がずっとほしかった!」「この本で台湾華語が勉強できる時代、なんて幸せなんだ…」と、忖度なしに唸ってしまうほど、全力でオススメしたい本です。
まずは、そんな筆者が思う「3つの魅力ポイント」を伝え、リンさんがどんな気持ちで制作にあたったかを伺ってみました。

◆魅力ポイント1

単語と例文に「注音(台湾で使われる発音記号)」と「拼音 (アルファベットで表す発音記号)」・「繁体字(台湾で使われる漢字)」と「簡体字(中国で使われる漢字)」それぞれ両方載っているのがいい!

「注音と拼音、繁体字と簡体字の両方を載せているのは、とても重要視したポイントです。例えば日本人が大学で中国語を習う場合、ほとんどが中国大陸で使われる中国語を簡体字で教わります。しかし、もし途中で台湾に留学をしたいとなった時、以前習った発音記号や漢字が載っていれば、抵抗も少なく、効率的に学習できますよね。」(リンさん)
 
たしかにその通り。私も2年ほど大学で中国人の先生から中国語を学び、途中から台湾華語に切り替えた身ですが、当時は両方が載っている書籍は日本と台湾、どこを探してもありませんでした。だからこそ、これはかなり重要で有難いポイント。この本で一から台湾華語を学ぶことのできる今の環境を羨ましくさえ思います。
 

◆魅力ポイント2

例文が台湾で実際に使えるものばかり!
台湾の地名や固有名詞も出てきてモチベーションが上がる!
 
「例文づくりにもかなり力を入れました。
例えば『桃園空港』や『高雄港』など、台湾でよく聞く地名や固有名詞を入れることで、より学習者の興味をくすぐり、台湾旅行や留学の中でも実際に使えるものばかりを組み合わせています。」

「また、単語もとても慎重に選んでいます。
1冊目は『入りやすさ』を重視し『台湾の風土・人情』などを、2冊目はさらに深く『台湾文化』を知ってもらえるよう工夫をし、3冊目は『ことわざ・流行語・英語の名前』などを入れることで、さらに一歩踏み込んだテーマとなっています。流行語や俗語の日本語訳は、プロの編集者としっかり話し合い、より自然で意味の近いものを吟味しました。」(リンさん)

 
例えば、例文に出てくる「喝咖啡,聊是非 (おしゃべりする)」「刮別人鬍子前,先把自己的刮乾淨 (他人のひげを剃る前に、自分のひげをきれいに剃ろう。/他人を批判する前に自分を正そう)」というフレーズは、流行り言葉や、広告のセリフから来たものです。台湾では馴染みのある言葉であっても、背景を知らないとニュアンスまでを訳すのはとても難しいです。
そういった細かい部分も、2人で何度も何度も話し合ったと言います。

◆魅力ポイント3

コラムの台湾豆知識がおもしろい!
例えば、「家族の相関図」「媽祖さまの三大祭り」「原住民」などをテーマにしているので、台湾のより深い部分を楽しみながら知ることができます。
 
「特に今回の3冊目は、さらに深い内容が盛りだくさんです。単語だけでなく、ぜひコラムにも注目していただきたいです。台湾の民主と自由の精神、多元的な社会、文化、価値観を感じとり、台湾をより深く学んでいただけると幸いです。 」(リンさん)


台湾の「多民族」「自由民主」「歴史遺産」の3大テーマが凝縮!

日常でよく使う単語・例文が盛り込まれているだけでなく、この本には、台湾を知るうえで大切な3つのテーマが盛り込まれていると、リンさんは言います。

それは、『多民族』『自由民主』『歴史遺産』
台湾を知る上で欠かすことのできない重要な3大テーマです。
台湾は、多民族国家であり、多種多様な価値観や思想が共存して成り立っています。
さらに、現在は自由民主を代表する国家でもありますが、長い歴史を振り返ると、言論・生活の自由が奪われた悲しい時代があり、それはそう遠くない過去でもあります。そして、地名や場所ひとつとっても、その背景には複雑な歴史が関わっていることが多々あります。

今、台湾の中で生きているコトバを学ぶことは、台湾を深く知るためのはじめの一歩となるでしょう。
台湾華語を学びたいと思っている日本人に向けて、台湾人のリンさんが特別な想いを込めて丁寧に作り上げた3冊。
ぜひ、この本を手に取り、一緒に台湾を学べる仲間が一人でも増えると嬉しいです。

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通訳で参加した企画展「沖縄のハジチ、台湾原住民のタトゥー歴史と今(沖縄博物館)」(右:リンさん/左:研究者・山本芳美さん)

リンさんが日本語を学ぶことになった理由

ここからは、言語学者として様々な経験を積まれたリンさん自身のことを、根掘り葉掘り、聞いてみたいと思います!

――大学で日本語学科に入り、東京外国語大学で言語学の博士号を取得したリンさんですが、日本や日本語に対してどんな興味があったのでしょうか?

「実は日本語に興味があって日本語学科を選択したわけじゃなかったんですよ。(笑)というのも、当時は戦後から続く反日本語教育の転換期の渦中でもあり、日本語を熱心に学びたいと思う人自体が少なかった時代ですから。でも、私はもともと人が大好きで、語学を学ぶことで視野や交流を広げられたらいいなと思ったのは一つの理由ですね。でも大学1年生の時は、日本語の動詞の活用や文法には相当苦しめられました。日本へ留学に行く時も、もしダメだったら台湾に帰って来よう!と決めていたものの、留学先でのご縁にも恵まれ、充実した生活を送れたことが追い風となり、さらに日本語を深く勉強するようになりました。」(リンさん)

日本で一番印象に残ったことは「関東人と関西人の違い」

――そんな日本生活で最も印象深かったことはなんでしょうか?

「特に印象深かったのは、関西と関東で人の特徴に違いがあることですね。やっぱり関西人は台湾人に似ている、言語が違うだけでノリはそのまんまだと思いました(笑)。以前、大阪でホームステイしていた時は、知らない人でも親切に話しかけてくる人も多く、人と人との距離がすごく近いと感じました。逆に関東ではほどよい距離感で人と接することができるので、それが心地よい時もあります。ただ、日本へ来た当初は日本人特有の『空気を読む』ことが本当にわからなかったので、特に関東では空気を読む力が高くないと、人とのコミュニケーションが難しいと感じることが多かったです。もちろん割合の問題ですが、同じ日本でもここまで差があるのはおもしろいですね。」(リンさん)

私も生粋の関西人なので、よく台湾人に「台湾人っぽい!」と言われます。台湾人にはかなりシンパシーを感じているので、リンさんの意見には共感しかないです。(笑)

日本の好きな言葉「一期一会」

リンさんが好きな日本の言葉は「一期一会」。

「私が大好きな言葉です。でも実はこれは中国語でピッタリ表す言葉がないんですよ。でも、もし私が訳すとしたら『隨緣如意 (直訳:ご縁に従えばうまくいく) 』なのかなと。目の前のご縁を大切にすれば、きっとうまく。人によって中国語訳は違うかもしれませんが、私はいつも日本語の『一期一会』という言葉を大切にしています。」(リンさん)

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富士山 (撮影:リンさん)

好きな場所は「富士山の見える静岡県」

リンさんが好きな日本の場所は「富士山の見える静岡県」。

「富士山が好きな人は多いですよね。私は以前、富士山に向かって拝む人たちの光景を目にしました。その時、とても不思議に思って調べてみると、それは江戸時代から始まった『富士講(ふじこう)』と呼ばれる信仰文化であることを知りました。背景を知ることで、富士山がより縁起の良い存在に感じるようになり、今では富士山を見るととても嬉しくてハッピーな気分になります。また、静岡県は富士山があるだけでなく、食べ物やお茶も美味しく空気もキレイなので、日本で一番大好きな場所ですね。」(リンさん)

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高雄の駁二アート特区 (撮影:リンさん)

台湾のオススメスポット3選

リンさんオススメの台湾スポットは3つ。
①    歴史・文化を学びたい人は「故宮博物館・台北」
②    アート・新しい文化に触れたい人は「駁二(ばくに)アート特区・高雄」
③    大自然を感じたい人は「花東縦谷・台東&花蓮」

故宮博物館は、リンさんが通っていた大学の近くにあり、暑い夏はよくクーラーの風を浴びるために足を運んでいたそうです(笑)。約68万点という膨大な収蔵品があり、展示が定期的に変わるため、一度行った方でも時間を空けて行くと新しい発見があるのでオススメなんだそう。

 
リンさん、たくさんのお話しをお聞かせくださり、本当にありがとうございました!
日本生活で一期一会に恵まれたことは、きっとリンさんの人柄があってのことだとは思いますが、苦しい時期がありながらも諦めずに学び続けてきたリンさんがいたからこそ、今、この本で勉強ができていると思うととても感慨深い気持ちになりました。

リンさんが私たちのために一生懸命作り上げた「台湾華語単語シリーズ」は、美麗!台湾のサイトアスク出版の通販サイトでも販売中!

この3冊の単語帳をマスターすれば、台湾での旅行・生活は困らないレベルに台湾華語が上達するはずです。

(文◎加賀ま波)
美麗(メイリー)!台湾 note 執筆記事

  

「台湾華語単語 はじめの1000」
TOCFL Band A レベルの1000単語


「台湾華語単語 つぎへの1400」
TOCFL Band B1 レベルの1400単語

「台湾華語単語さらなる2700」
TOCFL Band B1~B2 レベルの2700単語



【すべてに共通する本書の特徴】
★単語と例文は、「注音符号」「ピンイン」/「繁体字」「簡体字」を併記!
★旅行はもちろん、留学や仕事など幅広い場面で使える単語が身につく!
★すべての単語・例文に音声付き!
★語彙力だけでなくコミュニケーション力もアップ!
★実施委員会公認! TOCFL対策にも使える!
※台湾華語=台湾で使われる中国語(「國語」「中文」と呼ばれる)のことで、台湾語とは異なる。

加賀 ま波

神戸出身│日台ハンドメイド作家・ライター  
 
「想*創Taiwan」ECサイトを立ち上げ、台湾から直接買い付けた布を使ってハンドメイド小物を制作&国内の台湾関連イベントにて販売。台湾や食に関するライターとしても日々勉強中。   
 
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